2008.01.22

【コラム】石で蓄熱~パッシブソーラーな間取り

 ■石と木で、熱容量のちがい

石の器と木の器を用意し、それぞれに90度のお湯を入れます。そうすると石の器は60度になり、木の器は71度になりました。それからお湯を捨て、その後に水を入れます。少し経つと石の器の方は45度、木の器の方は24度になりました。このことから、石の方が温まりにくいですが、一度温まるとその熱を蓄えることがわかります。これらの石のことを熱容量が大きいといいます。
 

 

 ■玄昌石は蓄熱に最適

この熱を蓄える特長を利用して、太陽の熱を上手に蓄熱して暖房する方法があります。
このためには平面プランでリビングのような広い空間を南側にとり、窓の付近に石を張ります。さらにこの石も遠赤外線効果のある玄昌石を張り詰める方法が良いでしょう。
 
コンクリートも石と同様に蓄熱できますので、本来は鉄筋コンクリート造の方が蓄熱する上では好ましいです。木造では、通常は石の部分も木下地かケイカル板下地となりますが、1階のリビングでは石の張る部分だけ基礎のスラブコンクリートを上げるか、または石の張る部分だけ床の高さをフローリングより少し低くすることによってコンクリートの上に直に石を張ることが出来ます。コンクリートブロックを敷き詰める方法でも良いとは思います。そうすることによって、石に当たった日差しは下地のコンクリートに蓄熱してくれます。

 
 

窓から入った日射が床や壁を直接暖めて蓄熱されます。昼の間に蓄えられた熱は、夜間に室内に熱を放熱し、急な温度の低下を防ぎ、一日中、室温を暖かく保つことに役立ちます。太陽の熱を利用し、自然な形で暖房し、省エネルギーにつなげることをパッシブソーラーといいます。夏は日中、日差しの角度が高いので、上から降り注ぐため窓からの日射は少ない。しかし温度が高いのでバルコニーの照り返しや、屋上からの熱伝達で暑くなります。
 

 ■夏の日差しと冬の日差しの違い

冬の日差しは低いので窓から日光が入ってくると部屋の奥の方まで入ってきますので、南面に張った床面の石に日光が到達します。このようなことと外部に落葉樹などの木を植えることで夏は葉がたくさんあるため、日差しを遮り、冬は落葉するので日差しがよく入ってきます。これらを併用することで太陽の熱を上手に家へ取り込むことが出来ます。 

■平面プランの手法
 

南面に広い窓をとり、直接室内に日射を取り込む方法とは別に平面的に蓄熱する部分だけを部屋として作る方法があります。よくある温室(サンルーム)です。その温室だけを南側のリビングより外側に突出した形で配置し、リビングと温室との間にサッシを取り付けます。夏は暑いためサッシを閉め、冬は放熱させる為にサッシを開け放します。

 
■近年の省エネブームは間違った方向に・・・

しかし、近年パッシブという言葉だけが独り歩きしていき、本来の自然な形での蓄熱ではなく、機械仕掛けで行っている住宅会社が目立ちますが、ただ単に流行りだけで採用しているように思えます。導入した時(新築時)だけの数値を追い求めている傾向がありますが、大事なことは、10年経っても20年経っても壊れず、本来の性能が維持できるという家づくりが大事なのです。