2009.10.27

【動画実験】長期優良住宅の方が倒壊していた!

この映像はとても貴重な映像で、国が長期優良住宅を推進していく前に耐震実験をした様子です。
実験が行われた場所は、兵庫県三木市にあるE-ディフェンスという施設で、建物の1/1を実験室内に建て、そのまま地震動を発生さて、倒壊しないかどうかの実験をするところです。
 
映像にある手前が従来の耐震等級1の建物で、奥が長期優良住宅仕様の耐震等級2の建物です。
開始から間もなく、一旦縦揺れでどちらも浮き上がりますが、その後横揺れで奥の建物の方が、1階部分が見事に破壊されてしまいました。
 
この長期優良住宅は、従来に比べて何が大きく違うかというと、床の剛性を高めています。そうすることによって、床が強くなりますが、その強さが仇になり、柱や壁に負担が掛かりすぎ、1階部分が倒壊してしまいました。
 

木や鉄は制振、コンクリートは耐震

本来、木というものは、しなりによって、地震力を回避するものです。そのしなりを無視し、硬くしてしまったために起こった現象です。鉄骨造も木造とよく似て、靭性(じんせい)というしなりが重要です。一方、鉄筋コンクリート造は、元々石ですので、鉄筋以外はしなりはありません。ですので、耐震をできるだけ高め、倒壊をふせぐ必要があります。木造や鉄骨造は、しなりを利用するとなれば、制振に力を入れるべきなのです。ほとんどの住宅会社は耐震等級を競い合っていますが、いくら構造計算をしても根本的な考え方が間違っていれば、意味がありません。
 
 

構造用の木材は長く持たない

また、等級を上げるために構造用合板や構造用集成材という木と木を接着剤で固められたものを使用していますが、これは時間と共に接着力が低下し、知らぬ間に耐力は低下していきます。
 
また、この実験だけではありませんが、基本的に国が推奨する耐震等級や基準は、新築した時の耐力の数値ですが、10年先、20年先の耐震の数値ではありません。
日本中で大震災級の地震が起こり、木造が倒壊していますが、これは耐震を高めれば安心できるものではなく、実際は、年数が経って、足元がシロアリで食害されているものや、呼吸のできない家で壁の中が腐食している家が倒壊していることをもっと知る必要があります。