2009.10.27

【コラム】合板と集成材の盲点とは

 
合板(ごうはん)とは・・・薄く切った単板を奇数層、繊維方向を90°、互い違いに重ねて熱圧接着した木質ボードのことである。...Wikipediaより
 

 
集成材(しゅうせいざい、Laminated wood)とは・・・断面寸法の小さい木材(板材)を接着剤で再構成して作られる木質材料である。...Wikipediaより

どちらも共通していることは、木と木を接着剤でくっつけているということです。特に強度の強いものを構造用と呼んでいます。
 
接着剤の強度は、実は最初だけ強いが・・・

化学接着剤は、最初の初期強度はとても強く、構造用合板や構造用集成材というのも建築確認申請の時には、とても有効です。しかし、これが建築基準法という法律の落とし穴で、申請時ということは、新築当初ということですので、20年先や30年先のことは全く規定がありません。唯一、10年保証という決まりしかありません。ここに不思議を感じられないでしょうか?
もし、それを規定してしまえば、国も建物が建った後も診なければならないし、実際耐久性が低くなり、大変なことになる可能性もあるからです。
 

接着剤の簡単なしくみ


接着剤の本来の作り方を簡単に説明すると、プラスチックをシンナーのような有機溶剤で溶かし、ドロドロにしたものを木と木の間に流しこんで、木の中に入り込みます。

そして、シンナーだけが蒸発して、プラスチックが固まり、なかには色々な用途に応じてプラスチックに添加物を混ぜたりはしますが、木と木がカチッと引っ付くという原理なのです。このシンナーなどの有機溶剤が全て出ていけば良いのですが、延々と揮発し続けます。この揮発物質がシックハウスの原因になるのです。特に合板は接着層が奥にあるので、揮発のスピードは緩やかになります。
 

では、実際に写真で見てみましょう。

 

これは、大阪の吹田市にある住宅展示場のセンターハウスという管理会社が建てた建物があります。それが約26年前に建ち、当時は構造用集成材を骨組みにした画期的な工法でした。しかし、それが柱の接着剤で貼りあわせている部分において、あちらこちらで割れておりました。
 

さらに奄美大島にある大きなホールでは、築13で構造用集成材があちらこちらで、接着面が割れており、パテで補修した跡が数多く見られます。これは、本州より特に南の方は湿度が高いということから、接着面が加水分解により劣化したものと推測します。
湿度の高い日本では集成材は不向き

通常、化学接着剤は20~30年で劣化が始まると言われていますが、湿度が高い場合は、それが顕著に縮まるという訳です。
 

合板も湿気の高い部分は劣化が早い

次にリフォームで築約30年ほどのお宅へ訪問した時ですが、床のフローリングが、部分的にガムテープを貼っているのところをよく見かけます。ここを踏むと床がボソボソになっていて、立つと、床下まで足が突き抜けてしまうのです。どこかで見たことありませんか?これが、接着剤の寿命です。湿気の多い脱衣場などはもっと早いのです。


 

接着剤が燃焼すると青酸ガスが発生する

これを住宅で考えると、せっかく新築住宅を建てて、35年ローンを組みますと、建物が30年くらいで構造体の寿命が来てしまい、ローンを支払う前に、建物の寿命がきてしまうのです。しかも化学接着剤は最近レゾルシノールというものからイソシアネートというものに代わっていますが、これが燃えると青酸ガス(シアン化水素)も出るという恐ろしい物なのです。本当にこのようなことで良いと思いますか?